「俺、に出会えてよかったって思うー。」


妙にのんびりとした口調でそう言って、文貴は笑った。
力の抜けたその笑みに私まで力が抜けてしまって、にへら、と一緒に笑う。


「私も、文貴に出会えてよかったって思うよ。」


だって、こんなに幸せだもんね、そう言ったら文貴は頷く。
冬の冷たい空気から逃れるように文貴に寄り添えば、文貴は当たり前のように私の手を握った。
私は文貴の暖かい手のぬくもりをもっと感じようとその手にぎゅーっと力を込めた。


「寒いね。」


文貴はそう笑った。
私は頷いてハァーっと息をいっぱい吐いた。


「息白いよ、もう冬だねー。」


私がのんびりとそう言えば、文貴は冬だねーと相槌を打った。
それから少し沈黙が流れて、文貴がいきなり立ち止まった。
私はそれにすぐさま反応することができず、少し腕が引っ張られてそのことに気付く。


「文貴?」


不思議に思って文貴を見上げれば、いきなり鼻の頭にチュッと啄ばむ様なキスをされた。
少し驚きながら、また文貴を見上げると、、好き、と言われ抱きしめられた。


「いきなりだね。」
「今急に、言いたくなった。」
「変な文貴。」
「冬だからー。」
「それ、関係ないよ?」




口調では冷静だけど、私は文貴の腕の中で顔を真っ赤にしていた。
文貴はそれを知っていて、私を抱きしめるのをやめない。
道の真ん中なのに、とか、そういうのは全然考えずに、私は文貴の腕の中の温かさを堪能していた。



















愛し
(当たり前のように、愛する日々)