Glorious Days
(黒髪・たれ目・同じ苗字。むかつく野郎。)






私は悪くない。
はっきり言って、校長の話が長いのが問題だったんだ。

入学式早々とてつもなく長い時間高校生活についてを熱弁するオヤジの声。
私はその声が誘う眠りに、耐え切れるわけもなく。

早速睡魔に白旗をあげていた。だって、昨日夜遅くまで部屋の整理をしていたんだ。
少しぐらい寝たって誰にも迷惑かけないだろう。
目を瞑って、睡魔に身をゆだねる。
首がカクンカクンと揺れたかと思うと、左に思い切り傾いた。
私は左に傾いた首を重力にゆだねる。

するとそこには丁度いい高さで肩を置いておけるものがあった。
私はそのまま首をそれに置いて、眠りに…


「はぎゃッ」


つくはずだった、の。

だけど、突然誰かにおでこを叩かれ、私は眠りから呼び戻されたのだった。
寝かけていたせいか、その悲鳴(らしきもの)は少し大きかったらしい。
周りからの視線を集めてしまった。


「…はぅ。」
「入学式早々寝るなよ、迷惑だから。」
「はぇ?」


いきなり小声で話し掛けられたので、私は眉を寄せて隣を見た。
黒髪・たれ目の私の隣の男子は、至極怖い顔で私を睨んでる。


「別に…誰にも迷惑かけてない。」
「俺は迷惑だったわけ。」
「ハ?」


すごく怖い顔で睨んでくるソイツの言葉の意味がわからなくて、私は思わず声を漏らす。
ソイツは、溜息をついた。


「お前、さっきまで何を枕にしてたと思う?」
「……もしかして?」
「俺の肩。」


ソイツはそう言って、壇上に視線を戻した。
そして、つーか、大口開いて寝るのどうかと思うけどな、と笑いながら言う。

…なに、ソレ!


「えー、つづきまして、新入生総代・阿部詩織さんのあいさつです。」
「は・いッ!」


ムカムカしながら私は立ち上がり返事をする。
すると、隣のソイツが驚いたように私を見た。


「なに?」


私は壇上に行く直前、ソイツに聞く。
すると、ソイツは笑って言った。


「俺も阿部。」
「…ふーん。」


最悪!と心の中で呟いたけれど、今は総代挨拶のほうが先だ、と私は壇上に足を向けた。
アイツも、阿部?冗談!私はとてつもなくムカつきながら壇上へ上り、早々と総代挨拶を済ませる。








私の中での『阿部』は第一印象は最悪なものだった。


















はじまり
(最悪だった、何もかも)