Glorious Days
(黒髪・たれ目・同じ苗字。ムカつく友達。)
「んー、楽しかった!」
映画館から出てきた私は、大きく伸びをした後目をこすってそう言った。
映画はすっごく感動できて、最後のほうはボロ泣きでタオルで涙を拭いていたような気がする。
その時の顔を見た隆也がブッと噴出していたのはちょっと…いやかなーりムカついたけど。
だけど、怒りよりも感動が勝っていて、ズビズビ泣いていた。
そして今、映画が終わり映画館を出てきたのだ。
「ねぇ隆也、感動したでしょ?」
「全然、つかどこがいいんだよ、あーいうの。」
隆也はそう言って自転車を駐輪場から出して私の前で足を止めた。
私を見て、言う。
「乗れ。」
「はーい」
命令口調も気にせずに私はおとなしく隆也の後ろに立ち乗りをして、隆也の方に手を置いた。
私がオッケーと元気よく言うと、隆也が自転車をこぎだした。
道路の水溜りが、パシャリとはねる。
ふ、と隆也の方に目をやると、隆也の肩幅が広いことに気付いた。
(うっわぁ…意外と肩幅広いなぁ…)
私はマジマジと隆也の肩を見つめる。
(…やっぱ、男の子なんだなぁ。手も大きくてゴツゴツしてたし)
私はなんだか急に恥ずかしくなって、隆也の肩から目を離す。
隆也が急に、お前の家って学校の近くだよな、と確かめるように言った。
私はなぜか少し焦りながら、うん、と頷く。
「、どうかした?」
「べ、別に!」
不思議に思ったのか、隆也がちょっと低い声で聞いてきた。
私はすぐに答えて、なにかはぐらかすかのように自分の横に広がる景色を見つめる。
濡れた草の匂いが、鼻についた。
「じゃ、今日はありがと!」
マンションの前で、私は隆也にお礼を言った。
隆也は自転車に乗ったまま、どーいたしまして、と言う。
「でも、隆也つまんなかったでしょ?」
「別に。の泣き顔は本気でウケたし。」
「…な、なにおー?!」
ムキー!と怒ると隆也が笑った。
その笑い顔に、何でか言葉が出なくなる。
「じゃーな」
そんな私をヨソに、隆也が自転車をこぎだした。
私はそんな隆也にハッとして、じゃあね!と返す。
隆也の後姿が、男の人に見えて。
なんだか、ドキドキしてた。
雨上がりマジック
(あれ?あれれれれ!?)