Glorious Days
(黒髪・たれ目・同じ苗字。気になる友達。)






6/23、土曜日、私の誕生日。
アイコと花井くんと隆也が、私の誕生日会を開いてくれた。
アイコと2人で作ったパエリアを4人で食べて、ケーキも食べて。
今は一息ついているところだった。



「ん?隆也、どうかした?」


ソファでくつろいでいた私の隣にドスッと腰をおろした隆也。
私は隆也を見て首を傾げた。
隆也の様子が、少し変。


「…これ、やる。」
「…え?」


差し出された小さい茶色の箱を受け取ると、隆也はすぐに立ち上がって何処かへ行ってしまった。
…といっても、多分花井くんがいるベランダだけど。
私が受け取ったものを見つめて首を傾げていたら、キッチンで洗い物をしてたアイコがクスクスと笑って言った。


「照れてるね、阿部くん。」
「なんで?」
「だってそれ、阿部くんが一生懸命選んだプレゼントだもん。」
「隆也が選んだ?」
「ソ、私と花井でね、昨日へのプレゼント買いに行った時、阿部くん見たんだ、女の子向けのお店で。」

隆也が女の子向けのお店にいたの?と想像したら思わず笑えた。
だって、似合わない。
そんな私を見て、アイコがコラ、と笑いながら言った。

「阿部くん必死になって選んでてさー、正直私も笑っちゃったけど。感謝したら?」
「…隆也が、必死に?」
「本当は私が『はこういうのが好きだよ?』とかアドバイスしてあげたかったけど、  やっぱ阿部くんが自分で選ぶべきだなって思ってね。見守っといてあげたよ。」

笑って言ったアイコを見て、ふーん、と声を漏らす。
隆也が…私のために選んでくれたプレゼント、かぁ。
私はなんだか嬉しくなって、えへへ、と笑った。
洗い物を終えたアイコがキッチンから戻ってきて、開けてみたら?と私を促す。
そうだね、と頷いて、私は箱を開けた。


「…うわぁ……可愛い!」


中に入ってたのは、ブレスレット。
シルバーのチェーンにピンクのビーズの花があしらえてある、可愛いデザイン。


「おぉ、本当に可愛いね!」
「うん!隆也にお礼言ってこよーっと!」
「あ、その前に私と花井からのプレゼントもあげよう。」
「え、あるの?」
「うん、ほら。」


アイコはそう言って、花井くんが持ってきたカバンから茶色い紙袋を出した。
なんだろう、と思って中を見てみれば、お料理の本。


「最近、料理好きみたいだし。」
「うわぁ!ありがとう!大事にするね!」
「うん。喜んでもらえて嬉しい。ほら、阿部くんのところにいっておいでー。あ、ついでに花井に戻ってこいって言っといて。」


笑いながら言うアイコに頷いて、私はベランダへと向かった。
手には、隆也からのプレゼントを持って。








「隆也!」
「うわっ…、なんだよ。」


勢いよくベランダの戸をあけたら、隆也がビックリしたかのようにこっちを見た。
花井くんも隆也同様、びっくりしたように私を見る。


「あ、花井くん、アイコが戻ってこいだって。」
「…わかった」


花井くんを見て思い出して言うと、花井君は頷いてすぐにアイコの元へと行った。
私は隆也の隣に立って、隆也を見る。


「あのね、プレゼント、ありがと!」
「…あぁ」
「すっごい嬉しい!ていうか、すごく可愛い!」
「そりゃあよかったな。」
「一生懸命選んでくれたんだってね?」
「は?」
「アイコが花井くんと隆也見たって言ってたよ。女の子向けのお店で。」
「……クソキャプテン」
「え?」
「別に。」


隆也が低い声で何かを言ったから、聞き返せば別に、とはぐらかされた。
だけど、そんなことあまり気にならなかった。
嬉しくて。
なんでかしれないけど、アイコと花井くんからもらったプレゼントよりもはるかに、隆也からもらったプレゼントが嬉しくて。
自然と、笑みがこぼれて止まらない。


「つけてやるよ。」
「え?」
「ほら、貸してみろ。」


隆也が急にそう言って、私からブレスレットを取る。
そして、私の右手にブレスレットをつけた。
…ちょっと恥ずかしい。


「よし。」
「あ、ありがと…」


照れながらも、隆也がつけてくれたブレスレットを見つめた。
そして、それを隆也に見えるように顔の横に手首を持ってきて、聞く。


「似合うー?」
「………」


無言だった。
その反応に少々機嫌を損ねた私は、リビングへ戻ろうと隆也を置いて戸を開けた。
あっかんベーッと舌を出したら、隆也は笑って言った。


「似合ってる、それ」
















不意打ちの、コトバ
(ブレスレットが、妙にキラキラして見えた)