Glorious Days
(黒髪・たれ目・同じ苗字。私の好きな人。)
泣き疲れて眠ってしまっていたことに気付いたのは、目を覚ました時。
頭まで布団で覆って、中で丸くなって泣いたまんま寝ていたんだ。
きっと、スカート皺くちゃだろうな、そう思って真っ暗な布団から顔を出した。
「あ、起きたのね。」
ひょっこりと顔を出した瞬間、保健医の声が聞こえてきた。
私はその声が聞こえてきたほうを見て、ハイ、と答える。
「すみませんでした、いきなり来て寝ちゃって。」
「いいのよ、保健室なんて本当はそういうためにあるようなものよ?」
にっこり笑って言った保健医に、笑顔で応える。
すると保健医は私のほうへと歩いてきた。
「手、出してみて?」
「え?」
「いいから、ほら。」
にっこり笑ったままの保健医。
少し不審に思いつつ私は右手を出した。
すると保健医は私の手の上に何かを置いた。
「預かったの、阿部っていう男の子に。」
「隆也が?」
「さっきまでいたのよ。だけど、部活あるからって。」
「そうですか。」
「『にやったんだから、持っとけ』って伝えといてくださいって。」
「……」
私の手の上に置かれたもの、それは、あのブレスレッドだった。
私はそれをマジマジと見た後、スカートのポケットへしまう。
…着ける気にはなれなかった。
「ねぇ、。阿部君と何かあったの?」
「…別に。なんで?」
「なんか急に避け始めたじゃん、、阿部君のこと。」
「……」
アイコの言葉に、無言で答える。
別に、避けてるわけじゃない。
ただ、隆也の傍にいるとなんだか苦しいんだ。
あれから、私の右腕には何もついていない。
ブレスレッドは、ずっとポケットに入ったまま、もう一週間も経ってる。
「なんか、最近元気ないし。阿部君になにか言われたの?」
「…違う、隆也は、何も悪くない。」
「そうなの?」
「そうなの。」
そう言って、私は溜息をついた。
「アイコ、人生はうまくいかないもんなんだね」
「なに人生悟ってんのよ。」
笑ってアイコは言った。
私も力なく笑って、そのまま机に突っ伏した。
このまま避け続けるのはダメだって分かってる。
けど、どうすることもできないの。
迷子になったのは、私
(どうしたらいいっていうの?)