Glorious Days
(黒髪・たれ目・同じ苗字。私の付き合ってる人。)






夏休みがもうそこまでやってきていた。
私と隆也は付き合い始めてから特になにが変わったわけでもなく、今まで通りの雰囲気だった。
ただ、夏休みとなればそうもいかない。
約束しなければ会うことも出来ないわけだから、やはりここは、デ…デートなんぞの約束を取り付けなくては…!と、いうわけで。
私は今、隆也にどうやってこの話題を切り出すか、必死で考えていたわけである。


「た…隆也!」
「なに?」


成績表を片手に私を見た隆也。
心なしか元気がないのは、やはり終業式の避けられないビッグイベント、成績表返しのせいだろう。
…まぁ、私の場合はそこまで気にするほどの成績でもなかったから(授業中は寝てたけどテストはそれなりに点を取るからね)元気をなくすこともないけど、隆也は野球部の方に一生懸命だから、そこまでわるいということもないだろうけど、やはり良くもないのだろう。
まぁ、それは置いといて。


「あのさ、夏休み、暇な日とかってない?」
「………」


席についたまま私が聞くと、隆也は黙り込んだ。
それから眉を寄せて(付き合いだしてずっと側にいるようになってから気付いたんだけど、これは、困った顔だ)、溜息をついた。


「悪いんだけど、盆以外は部活だし盆は親の実家に行くから。」
「…あ、じゃあ暇なんてない、ね。」


残念、と心の中で呟いた。
夏休みはあえないってことか。
明らかに沈んでく気持ちを紛らわすためわざと明るく、じゃあ遊べないね!と隆也に言う。
すると隆也は、悪ぃ、と私の肩に手を置いて謝ってきた。
そんな、謝られたら余計に辛いんだけど…と心の中で呟きながらも、いいよ!と笑顔で答えた。


「そんながっかりしないの、。夏休みは私と遊ぼうねー」


にこにこ笑ってやってきたアイコがうしろから、ていやっ、と私を抱きしめてきた。
私はびっくりして、うわっ、と声を漏らす。


「阿部くんと遊べない分、いーっぱい遊ぼうねー。私の馬鹿彼氏も部活部活だから、女二人で楽しく過ごそうね」


明るい声だけど、どこか不機嫌そうなアイコに驚きながらも、うん、と頷くと、アイコは嬉しいねーと言った。
あ、あれ、アイコって彼氏いたんだ…、といまさらながら気付いて、それを聞こうとしたら、明らかに不機嫌そうな隆也の顔が目に見える。


「二人で海に行って、めっちゃ露出度ある水着着てー、ナンパして来た男と楽しむか!」
「えッ?!」


明るく言ったアイコだが、その内容に少し驚く。
すると隆也が不機嫌そうに席から立ち上がり私からアイコを引き離した。


「お前、花井に遊ぶの断られたからってヤケになるのはいいけどさ、を巻き込むなよ。」


隆也が怒った声でそう言った。


「なにさ阿部くんだって部活あるからってと遊ばないんでしょ。じゃあいいじゃん。」
「それとこれとは関係ねぇよ」
「大有り!よーし、!明日水着買いに行こうね。ついでに洋服と浴衣も!お金いくらあっても足りないねー」


アイコがいきなり話を振るから、思わず、うん、と頷いてしまった。
すると隆也が、了解すんな、と言ってきて、さらに困る。
私は隆也とアイコを交互に見ながら、どうしよう、頭を抱えた。
けれど、すぐにさっきの隆也の言葉に疑問を持つ。
…ん、あ、れ、あれれ?ちょっと待って、隆也はさっきなんて言った?
…アイコが、付き合ってる人って…もしかして……






































夏が始まる
(花井くんなの?!え、待って、いつから!?)